工学研究

工学研究からのアプローチ

教育施設の屋外環境デザイン

増田豊文 教授
五星体育直播 建築環境学科
増田豊文 教授

研究の概要

里山の小川環境を、単位空間として人工的に再生させるシステムを構築。特殊な水循環システムによって水を循環させることで、生物の棲みか(ビオトープ)としての生態系を創出しています。この自然再生のシステム空間は、屋上など様々な場所に構築することができ、それぞれのシーンで身近に自然を感じることを可能にしています。

なぜこの研究を始めたのですか?

地球規模での環境問題が叫ばれる中、環境教育の重要性を再認識しました。環境に対する倫理感をもった人材育成が急務であることに着目し、感受性が最も養われる幼少期の教育現場となる小学校に、環境教育の教材としてビオトープを提案したいと考えました。子供たちが自然に対する感性を磨く空間を、教育施設に普及させたいと思いました。

先生の研究の社会との関わりは?

学校ビオトープを仙台市の小学校に設計提案し、実際に建設しました。設置時から20年以上経過していますが、毎年ビオトープを教材に、小学校の先生や地域の方と協力して、土曜環境スクールや施設の整備をしています。今まで参加した小学生は約2000名に達しており、地域交流の場にもなっています。

社会の中でどんな応用の可能性がありますか? この自然再生のシステム空間は、教育施設だけでなく、老人ホームなどの高齢者施設に設置することで、自然を通した癒し環境をお年寄りたちに提供することができます。病気に苦しむ患者さんを対象に、入院施設がある医療施設に設けてもよいでしょう。広義のモバイル型自然環境であるため、様々なシーンで豊かな環境創りに貢献できると考えています。

高校生に向けて研究領域の魅力を伝えるメッセージをお願いします。

我々人間も自然環境の一部であることを認識して、環境共生社会への貢献を目的に、自然空間を提案する環境デザインを研究しています。直接的に人々に提案できる実践的な研究が、都市環境や建築物も含めた設計研究の醍醐味です。